今回は「代理特性と妥当性確認」や「検証と妥当性確認の違い」などについて
ご紹介したいと 思います。
「また、難解な文言を!」と思われるかもしれませんが、その中身は全く難し
いものではなく、皆さまも日ごろから意識することなく行われていることが
あると思います。
代理特性と妥当性確認
代理特性とは、「食品の中心温度と密接に関係する特性」のこと。
う~ん、これでは、全くわからないですよね。もっと簡単に表現すると「直接、製品温度を測定せず、フライヤーの油温やスチーマーの庫内温度、煮物の煮汁の温度などいわゆる雰囲気温度を代用すること」を言います。
例えば、中心温度計などを製品に刺すと穴が開いて製品価値が低下しますし、そもそも多量の製品を調理する場合はひとつひとつ測定はできませんので、雰囲気温度が何℃で何分維持しておれば、製品の中心部も目論む温度と時間になっているということが代理特性です。
そして、それが本当に正しいかどうか文献や実験等で確認することが妥当性確認ということになります。
なお、温度を測定せず、焼き色や弾力、肉汁の色、揚げ油の音や泡の大きさなどで出来上がりを判断する場合でも、特に新しい製品の場合は、実際に中心部まで十分に加熱されているか最初に確認しておくことが大切です。
検証と妥当性確認の違い
先述しました通り、妥当性確認とは決めたルールの内容が本当に正しいか実験等で確認することです。
一方、検証とは、決められたルールを決めた通りに行っているかを確認することです。HACCPにおいて、それぞれ行うタイミングが異なります。
※検証には、測定機器の校正も含まれます。
※妥当性確認の対象は、管理手段、管理基準、モニタリング方法、記録方法等になります。
妥当性確認は、HACCPの初期の衛生管理計画を立てるときに行っておかないと、その先も誤ったルールを運用することになりかねないですし、正しいルールを立ててもその通り実行しないと全く意味がありません。そこで、一定期間運用した後に検証が必要になるということです。
いずれにしましても妥当性確認や検証結果は記録して、必要に応じて保健所等に提示できるよう保管しておくことが大切です。
CLとOLについて
これは上記とは全く異なった内容です。
「ボイル温度は80℃以上」とか「pHを4.6以下にする」など皆さまは食品によって、いろいろな管理(危害の発生を防止)するための基準を決められると思います。
これが、″HACCPに基づいた衛生管理“では「管理基準の設定」であり”HACCPの考え方を取り入れた衛生管理”では、「いつ」、「どのように」、「問題があったとき」の「どのように」(基準設定とそのモニタリング方法の決定)ということになります。
HACCPの管理基準(CL:Critical Limit)とは、これを逸脱するとその製品が安全でない可能性が生じる限界値のことですが、一方OL(Operating Limit)とは、「作業限界」と訳され、管理基準(CL)に安全率を見込んだ値を設定し、OLを逸脱した場合は、CLを逸脱する前に適切な管理状態に戻すという作業調整を行います。すなわち、赤信号(CL逸脱)になるとその食品の安全性が担保できず、廃棄など経済的なダメージがあるので、その前の黄信号(OL逸脱)で逸脱傾向にある状態をもとに戻すための基準値がOLということになります。
一例ですが、ボイル温度の管理基準(CL)を80℃、作業限界(OL)を82℃と設定し、通常は82℃以上でボイルしている場合、82℃を下回ると作業調整に入り、管理基準(CL)の80℃を下回る前に「事なきを得る」ということになります。ただし、OLを絶対に設定しないといけないということではありませんので、ご参考までに。