10.一般的衛生管理について

ここでは、HACCPにおいて重要な役割を果たす一般的衛生管理について、
ご説明したいと思います。

1.一般的衛生管理と重要管理(点)
今までこの連載の中で、一般的衛生管理とは、「どのような食品にも共通する基本的な衛生管理のことで、例えば手洗い、従業員の健康管理、器具等の洗浄・殺菌、トイレの洗浄・消毒等が該当します。」とご説明してきました。

また、重要管理(点)とは、「最終製品に衛生面で大きな影響を与える危害の発生を防止するために、集中管理をすべき極めて重要な工程のこと」で、例えば加熱工程が代表的な重要管理(点)です。(加熱工程が重要管理点でない場合もあります。
連載第7回「パン類製造」をご参照ください。)

2.「HACCPに基づいた衛生管理」と「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」における「一般的衛生管理」と「重要管理」
今までのおさらいになりますが、令和3年6月1日に本格施行された「HACCPに沿った衛生管理」には、大規模事業者(一事業所の食品等取扱い従事者が50人以上等)などが対象となる
(1)「HACCPに基づいた衛生管理」と一般の飲食店や小規模な製造業、販売業を対象とした
(2)「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」の2種類があることは、すでにご存知だと思います。

(1)「HACCPに基づいた衛生管理」は、決定した重要管理(点)を集中的に管理する衛生管理(※)の手法で、一般的衛生管理はHACCPには含まれません。
※管理基準を設け、そのモニタリング方法を決め、決めた基準から逸脱した場合の改善措置を決めるなど。
ただし、一般的衛生管理を実施しなくても良いということではありません。

一般的衛生管理は、Prerequisite Programの頭文字をとってPPまたはPRPと呼ばれ、「前提条件プログラム」とも訳されます。「前提」とは、食品安全の前提となる条件のことで、HACCPを実施すための前提となるもの、すなわち、「HACCPを効果的に機能させるために不可欠な衛生管理プログラム」ということになります。

一方、このメルマガの多くの読者が導入すべき(2)「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」は、「HACCPに基づいた衛生管理」をそのまま実施することが困難な小規模事業者等を対象としており、一般的衛生管理にも重きを置きながら、必要に応じて重要管理(点)を設けて管理する衛生管理です。「HACCPに基づいた衛生管理」と異なり、事業者が導入しやすいように、一般的衛生管理と重要管理(点)が一体となっています。

3.一般的衛生管理をおろそかにした一例
このメルマガで一番登場回数が多いハンバーグの製造工程を例にとってみましょう。

ハンバーグの原材料であるひき肉には、病原性大腸菌やサルモネラなどの食中毒菌により汚染されている可能性があります。「加熱工程」以外にこれらの食中毒菌を殺菌する工程がありませんので、「中心部まで十分加熱する」工程が重要管理(点)となります。

十分な加熱工程を経て焼きあがったハンバーグ。
しかし、そのハンバーグに添える温野菜を、ノロウイルスにり患した調理人が、トイレの後に手洗いせず盛り付けた場合どうなるでしょうか

つまり、重要管理(点)であるハンバーグの加熱を十分に行ったにもかかわらず、一般的衛生管理である個人衛生(健康管理)や衛生的な手洗いなどをおろそかにしたために食中毒が発生する可能性があるわけです。

「重要管理(点)」が最も重要な工程であることは間違いありませんが、重要という言葉にあまり惑わせられないで、日常的な一般的衛生管理もしっかり行うことが大切です。

最後に一般的衛生管理プログラムの項目です。衛生管理計画を作成するときの参考にしてください。
1.施設設備の衛生管理
2.従事者の衛生教育
3.施設設備及び機械器具の保守点検
4.そ族昆虫の防除
5.使用水の衛生管理
6.排水及び廃棄物の衛生管理
7.従事者の衛生管理
8.食品等の衛生的取扱い

(9.製品の回収方法 10.製品等の試験検査に用いる機械器具の保守点検)