8. HACCP導入具体例~食品販売店

ここでは食品の販売におけるHACCPの考え方を取り入れた衛生管理についてお話します。

なお、例えば食肉販売業におけるとんかつ等未加熱の半製品の調整、魚介類販売業に
おける刺身の調理、スーパーマーケットにおける惣菜等の加工などについては、
それぞれの手引書や飲食店、惣菜製造等の手引書をご参考にしていただき、ここでは
販売(売り場)に限定してお話したいと思います。

販売店のHACCPに言及している手引書(2021年12月現在)

製造・加工業の手引書の中で販売について説明しているもの
菓子製造業、パン類製造業、辛子めんたいこ製造、豆腐類製造、スーパーマーケット(多店舗展開を図る食品小売)

販売業の手引書
牛乳販売店等における牛乳乳製品等の宅配、冷凍・冷蔵商品販売事業者(加工食品卸業)、食肉販売、魚介類競り売り営業、水産物(卸売り、仲卸、小売)、青果物(卸売、仲卸、小売)、中華まんの加温販売、農産物直売所

厚生労働省 手引書(外部リンク)

販売店における衛生管理計画
販売そのものでは、細菌増殖の抑制(温度管理)や容器包装の破損による異物混入防止(目視確認)など一般的衛生管理で管理が可能であるため、明確に重要管理を設定している業種は、ほとんどないと思われます。(販売店における製造・加工・調理工程では「重要管理」があります。)

各販売業種で共通している項目としては、
・商品や資材の納入時のチェック
・店内の清掃
・正しい手洗い
・従業員の健康管理
・衛生的な作業着の着用
・冷蔵庫・冷凍庫・加温調理機器等の温度管理
・器具等の衛生管理
・トイレの洗浄・消毒
・ネズミ、害虫の駆除

などが共通しています。

また、
・消費・賞味期限やアレルゲン等の正確な説明
・要冷蔵商品の場合、持ち帰り時間の聞き取りと保冷剤の提供
・正しい表示シールの貼付

などもあります。

温度管理については、一般的には冷蔵10℃以下、冷凍‐15℃以下ですが、例えば、食肉販売の手引書では冷蔵0~4℃、冷凍‐18℃以下を理想としており、食品により管理すべき温度帯が異なる場合がありますので注意が必要です。

食品販売店における衛生管理計画の一例

食品販売店における保存温度の変更について
食品の保存温度は流通、消費まで一般的には同じですが、最近は賞味期限の長い冷凍状態で保管した商品を販売店等で解凍し、冷蔵の温度帯で販売するそうざいや菓子類など、フローズンチルド商品と呼ばれるものが増えてきています。

このように流通の途中で保存方法を変更した場合は、表示の保存方法を変えるだけでなく、科学的・合理的根拠をもって賞味(消費)期限を再設定して新たに表示する必要があります。
また、「保存温度を変更した旨」「保存温度の変更者」については、義務付けられてはいませんが、表示した方が望ましいとされています。

このように保存温度を変える商品においても、衛生管理計画を作成し正しく取り扱うとともに、関係者全員に周知させることが大切です。

※このような保存温度の変更を行う商品は、メーカー等からの具体的な指示があると思われますが、表示の方法や新たな期限の設定についてあいまいな場合は、最寄りの保健所に相談されることをお勧めします。