これから、「どのようにすればHACCPを導入することができるか」について
いくつかの業種を例に、具体的に紹介していきたいと思いますが、その前に、
これからお話を進めていく上で知っていただきたい、どの業種にも共通する
HACCPの「大切な用語」についてご説明したいと思います。
1.危害要因
この連載の第1回のQ&A「HACCPは何の略?」でも紹介しましたが、「HACCP」の一番最初の「H」は何の頭文字か憶えていらっしゃいますでしょうか。
そうですね、「Hazard」です。日本語では「危害要因」と訳します。
危害要因とは、「健康に悪影響をもたらす原因となる可能性のある食品中の物質や食品の状態のこと」ですが、もっとシンプルに言うと「食中毒事故の要因になりうるもの」ということになります。
例えば、
「手を洗わず調理した」、
「ハンバーグの中心部が生焼けだった」、
「生肉を切ったまな板、包丁を洗浄・殺菌せず刺身に使用した」、
「プラスティック容器が破損した」等々により、生き残った病原菌とか食品に混入した危険異物などが危害要因ということです。
危害要因は、原材料ごと、工程ごとに「生物的危害要因」、「化学的危害要因」、「物理的危害要因」に分類します。それぞれどんなものがあるのか、具体例を示します。
・生物的危害要因
病原細菌やウイルスによる食品汚染、アニサキス(寄生虫)による食中毒など
・化学的危害要因
洗剤や殺菌剤(食品への混入)、毒キノコなどの自然毒、食物アレルギーなど
・物理的危害要因
金属片、硬質プラスティック等(食品への混入)
まさにこれらは、健康に悪影響を与える要因となることがお分かりになると思います。
本来はあなたのお店(施設)にひそんでいるこれらの危害要因をあなた自身が見つけるところから、HACCP導入(衛生管理計画の作成)が始まります。
ただし、見つけることが難しければ最初は各業種の手引書に従っていただければ良いと思います。
その次のステップとして、あなた自身が、あなたのお店(施設)特有の危害要因を探し、それを管理する(取り除く)方法を考えてみてください。
2.一般的衛生管理と重要管理(点)
一般的衛生管理とは
「どのような食品の取扱いにも共通する基本的な衛生管理」のことです。
例えば「手洗い」、「従業員の健康管理」、「器具等の洗浄・殺菌」、「トイレの洗浄・消毒」等々が該当します。
重要管理(点)とは
「取り扱う食品ごとに異なる特に重要な工程等」のことです。
ここをしっかりと管理しないと、衛生面で問題ある食品が出来上がる可能性が高い工程等を指します。
代表的なものとして、調理・加工・製造における加熱温度・時間等が該当します。
3.SSOP(衛生標準作業手順=略して作業手順)
SSOP(衛生標準作業手順=略して作業手順)とは衛生管理に関する手順のことです。
「いつ、どこで、だれが、なにを、どのようにするか」を誰もがわかるように文書化したものを手順書といいます。
目的に適した作業が確実に実行できるように、かつ担当者によって解釈が異なることがないように図やイラストを活用して、具体的な内容で作成します。手洗い場の壁に貼っている、手洗い手順のポスターなども手順書のひとつです。特に重要な工程や人によりバラツキが多い作業などは、必要に応じて衛生に関する手順書を作成しましょう。
HACCPに関連する用語と、その意味についてまとめました。
下記をクリックするとダウンロード(PDF)できますので、ご活用ください。
HACCPに関する用語集(PDF)
なお、それぞれの内容については、ご覧になった資料等によって表現方法等の違いがあります。
例えば、CCPのC(Critical)は、一般的に「重要管理点」と訳しますが、「必須管理点」と訳している方(組織)も少なからずあります。
確かに重要といってもいろいろなレベルがあり少し曖昧ですが、必須(欠かせないもの、なくてはならないこと)の方が適切だということだと思います。いずれにしましても他の資料との表現の違いについてはご容赦ください。