3.HACCPの導入手順

【1】で、導入手順の大きな流れは、

Step1  衛生管理計画の作成
Step2  計画の実行
Step3  実行した内容の確認・記録
Step4  計画の見直し

と説明しました。

今回は、この4つのステップに関して少し具体的な説明をしたいと思います。

Step1 衛生管理計画の作成
「衛生管理計画」というお堅い文言で「一気にやる気が失せた」という方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、「計画を立てる」ことは、日常生活でも普通にされていると思います。

例えば、ある日の休日。
「今日は、〇時の市営バスにのり、次に□時のJRにのり、A駅の改札口で10時に友達と合流して、センター街でショッピングをして、12時にB店でランチをする」など、計画を立てられると思います。

HACCPも同様で、例えば「冷蔵庫、冷凍庫の温度は毎日確認する」とか、「フライを揚げるときは、泡、音、揚げ色で中心部まで加熱されていることを判断する」とか「トイレやごみを触った後は必ず手洗いを行う」など、自然に頭の中で仕入れから調理(製造)、提供(販売)までの計画を立てられていると思います。

そして、「今どのような衛生管理をおこなっているのか」「どのような衛生問題が発生したのか、「発生した衛生問題にどのように対応して、改善したか」などを、食品に携わる全員が共有し、いつでも保健所の食品衛生監視員等に提示できる状態にしておくこと、これが「見える化」ということなのです。

「受入時」の衛生管理計画(一例)
・い つ      :納品時
・どのように    :注文した品と数量を確認する。消費期限、賞味期限を確認する。外箱に汚れや破損がないか確認する。
・問題があったとき :誤って使用しないように良品と区別して保管して、返品する。

皆さまが普段されていることを文書にすれば良いのですが、それでも難しい場合は、該当する手引書(※)の内容をそのまま実行していただいても結構です。

(※)厚生労働省のホームページに「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書」として各業種の手引書が掲載されています。

なお、手引書の内容をすべて実行する必要はなく、ご自分のお店等で該当しない箇所は削除し、手引書にない場合は追加してください。

同様に【いつ】【どのように】【問題があったとき】の視点で、「衛生的な手洗」「器具の洗浄殺菌」「冷蔵庫や冷凍庫の温度管理」「従業員の健康管理」「トイレの清掃」などを文書化すれば、衛生管理計画の完成!ということになります。

Step2 衛生管理計画の実行
すべての関係者が、決められたことを決められた通りに実行することが大切です。

Step3 実行した内容の確認・記録
専用の記録用紙に決めた頻度(例えば1日朝、夕の2回など)で記録します。
単に良否を記録するのではなく、問題点があれば(否であれば)、発生日時、担当者名、内容、対応・改善内容等を記録し残しておくことが大切です。(記録用紙は最後の記録から1年程度保管してください)

Step4 計画の見直し(振り返り)
誰でも最初から完璧な計画を作成することは容易なことではありません。足りない点はなかったか?逆に複雑すぎて、実行することが困難な点はなかったか?など、1か月程度を目安に振り返ってみて修正等を繰り返すことにより、より良い計画が出来上がります。

「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」導入の大きな流れはおわかりになりましたでしょうか。
次回は、飲食店における衛生管理計画の立て方や記録の方法についてさらに詳しく紹介したいと思います。